執行役と執行役員(税務編)

 さて、前回の続き。

 執行役と執行役員は法律上の立場がそれぞれ違いますが、税務上は以下のように取り扱われます。

 まず、法人税法は会社法上の役員とは別に法人税法独自の役員である「みなし役員」という規定を設けています。みなし役員は、取締役、監査役などの会社法上の役員のほか「会社の使用人以外の相談役、顧問等で会社の役員と同様に実質的に会社の経営に従事していると認められる人」を含むことから執行役員も実質的に会社の経営に従事している場合には、法人税法上のみなし役員に該当すると考えられます。したがって、執行役員の給与も会社法上の役員と同様に法人税法上の規制を受けることになります。

 現在、法人税法で損金算入が認められる役員給与は、退職給与、ストックオプション等によるものを除き以下の3つに限られています。

 ①定期同額給与…毎月同額の給与
 ②事前確定届出給与…事前に税務署長に届け出た内容に基づき支給する給与
 ③業績連動型給与…業績に連動した給与(有価証券報告書等を提出している場合に限る)

 これらに、該当しない場合には損金算入できないので注意が必要です。

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執行役と執行役員(会社法編)

 先日、当ブログでも少し紹介したソフトバンクの優先株ですが、どうやらこの話立ち消えになってしまったようですdespair。人に夢と書いて儚い(はかない)と読みます。ホント早かったな…。

 会社法関係の記事を読んでいると「執行役」「執行役員」と言った言葉がたまに見受けられますが、時々間違えて使用されているケースなど見つけると自然にほほえんでしまいます。

 「執行役」は平成14年の商法改正で創設された委員会設置会社の業務執行機関で、取締役に代わって委員会設置会社の業務執行を担当します。

 これに対して「執行役員」は、代表取締役の任命によって株式会社の業務執行を担当します。通常、取締役は意思決定と業務執行の両方を担当しているため、取締役だけでは効率的な業務執行ができない場合があります。このような場合に業務執行に特化して会社の運営を助けるのが執行役員です。

 執行役は取締役、監査役等と同様に会社法上の役員ですが、執行役員は会社法上の役員ではありません。したがって、執行役員は商業登記の必要がありません。また、執行役員は会社法上の役員でないため会社法に規定する役員の損害賠償責任は負いません。しかし、表見代表取締役に該当する場合には、第三者に対しては損害賠償責任を負うものと考えられています。

 両者の税務上の取扱については、また次回。

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株券の電子化と端株

 さて、また日本経済新聞記事からのトピックになりますが、3月決算法人の株主総会の時期が近づいてきますと、企業側もいろいろと資本政策を発表してきますね。

 今回は10日付の日本経済新聞より。NTTが現在発行している株式を100分割する旨の発表を行ったようです。100分割ということは、現在1株保有している株主が100株保有する株主になることになります。NTTは何故このような分割を行うことにしたのでしょうか。

 これは平成21年1月より実施が予定される「株券の電子化」に伴い端株主の株主利益を救済することを目的としてのものらしいです。端株とは1株に満たない株式のことで、過去の合併や増資によって発生したものがほとんどです(例えば、1株につき1.3株の割合で株主割り当て増資を行った場合、0.3株の端株が発生します)。

 株券の電子化が実施されると、端株は整理株として信託銀行等の株主名簿管理人の特別口座に記載される事が予定されておりますので、株券の電子化実施後に証券会社の証券取引口座に振替を失念しますと株券の効力を失効するおそれがあります

 NTTはこのような株券失効の事態を回避するために、端株を一掃する株式分割を決定したようです。通常、株式分割を行うと単位あたりの株価が下落するのですが、株式分割と同時に最低取引単位を現在の1株から100株に引き上げることで株価下落を予防しているようです。このような手法はJR東日本でもすでに導入を決定しおり、同様の方式により会社法導入による端株の取扱問題は解消されるようです。

 それにしても端株は平成13年10月に導入なので寿命に短い制度でしたね。

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増資と社債

 8日の日経新聞によると、ソフトバンクが無議決権優先株式を発行することを決めたようです。無議決権優先株式とは株主総会における議決権を持たない代わりに配当等において普通株式に優先される株式のことをいいます。会社経営に興味のない個人株主などは、普通株式よりもこちらのほうが好まれるかもしれません。

 ところで、企業が資金調達する方法として、今回のソフトバンクのように増資によるケースと社債を発行するケースがあります。増資と社債では会社の資金調達方法である点で同じ効果がありますが、以下のような相違点があります。

(1)増資
①メリット
 ・基本的に返還の義務がない
 ・会社の業績に応じて配当額を決定できるので資金繰りが流動化できる。
②デメリット
 ・会社にとっては多量に発行すると株価の低下を招き、買収の危険性が高まる。
 ・株主にとっては、会社が倒産した場合にそのままデフォルトになる。

(2)社債
①メリット
 ・社債権者は、議決権がないので会社の経営に影響を与えない
 ・買収の危険性がない。
 ・社債権者にとっては、会社が倒産した場合に残余財産の分配について、一般債権と同等に扱われる。
②デメリット
 ・会社にとっては、返還の必要があり、定期的に利息を支払わなければならない。
 ・負債が増加するので、財務比率に影響を与える。

 今回、ソフトバンクが採用した無議決権優先株式は増資と社債のそれぞれのメリットを合わせたものになっているのが特徴的です。このような株式と社債の接近化は、今後普及するかもしれませんねhappy01

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代休と振替休日の違いは?

 世間では大型連休で、聞くところによると最高11連休などと言ったうらやましい話も聞かれますが、当事務所はカレンダー通り営業しております。
 また、「うちは連休中も仕事だ」というところも多いかと思いますが、今回はその休日労働について触れてみたいと思います。

 労働基準法では労働者を休日出勤させた場合には、所定の休日割増賃金を支払わなければならないことになっております。しかし、休日出勤の形態には「代休」「休日の振替」の2種類に分かれます。

(1)代休
 代休とは、休日に労働させ、後日、代わりに休日を与える(本来の労働日を免除する)ことをいいます。この場合の休日出勤には、休日割増賃金を支払う必要があります。一方、代休を行うには、就業規則や36協定は不要です。

(2)休日の振替
 休日の振替とは、あらかじめ指定した労働日を休日と定めたうえで、本来休日と定められている日に労働させることをいいます。この場合の休日出勤は、休日労働に該当せず、休日割増賃金を支払う義務はありません

 両者を比べると、休日の振替のほうが、割増賃金を支払う義務がないので事業主側としては休日の振替にしたいところです。しかし、休日の振替にするには就業規則に「業務上必要と認める場合は、休日を振り返ることができる」旨を定める必要があります。このような規定のない場合は、休日振替を行うことはできません。また、所定労働時間を超えて労働させることになりますので、36協定も用意する必要があります。

 GW中、休日出勤する予定がある場合には、就業規則等を事前に確認してみてはいかがでしょうか。

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労働保険特別加入

 世間では後期高齢者医療保険制度の話題が連日のように議論されております。「周知不足であった」「年金からの天引きに問題がある」等、様々な意見が飛び交っておりますが、このように混乱した場合には原理原則に戻って考えるべきです。つまり、「適正な保険料を負担したのであれば公平に保険制度を利用できることが国民健康保険」と考えると、今回の混乱は何処に問題があったのか自ずと見えてくるような気がします。まあ、何をもって適正・公平と判断すべきかですけどね…。

 それはさておき、既に平成20年度の労働保険料の申告受付が始まっております。今年は例年通り、5月20日までですので余裕を持って申告するようにしてください。

 さて、この労働保険制度は、原則として「日本国内の労働者」を対象とするものですが、これに該当しない人でも特別加入制度によって労働保険に加入することができます。特別加入制度は以下の3種類です。

(1)第一種特別加入
 常時労働者数が300人以下(金融業、保険業、不動産業、小売業は50人以下、卸売業、サービス業は100人以下)の中小事業主が加入できる制度で、加入にあたって労働保険の事務を「労働保険事務組合」に委託する必要があります。

(2)第二種特別加入
 労働者を使用しないで事業を行う、いわゆる一人親方がこれに該当します(具体的には個人タクシー業者や大工、林業を行う方などがこれに該当します)。加入にあたって、営む事業が同一業種の一人親方の団体に加入する必要があります。

(3)第三種特別加入
 国内の事業場で働いていた方が海外の事業場(有期事業を除く)に派遣された場合がこれに該当します。詳しい要件についてはここでは割愛させていただきます。所轄の労働基準監督署へおたずねください。

 中小企業では事業主が労働者と一緒に現場に出ることも少なくありません。ただし、事業主は労働保険原則未加入ですので労災事故があっても補償されないので特別加入を検討されると良いでしょう。

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リース新基準の適用開始日

リースの新基準、会計も税務も平成20年4月1日より適用開始となっていますが、会計は「リース資産の引き渡し日が平成20年4月1日以降のもの」から適用するのに対して、税務は「リース契約日が平成20年4月1日以降のもの」から適用することになっております。

細かい点ですが、少し気になったのでお伝えします。

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リース契約満了時の注意点

前回記事の期限切れ法案の適用時期について、額賀財務相減税項目に限って遡及適用を示唆しているようですが、ホントですか?

さて、4月に入り様々な法律が施行されておりますが、リース会計・税務もその一つです。新基準では原則売買処理に統一されたわけですが、その適用開始は4月1日からであり、まだまだ旧基準の適用を受けるリース取引も多いわけです。

そこで、今回は旧基準のリース契約が満了したときの処理について注意すべき点について触れてみたいと思います。

リース期間が満了した場合の選択肢として①解約②再リース③リース物件の買取りの3パターンが考えられます。実務上は①②が圧倒的に多いのですが、まれに③のパターンが発生するときがあります。③の場合、税務上は契約時にさかのぼって延払条件付販売の処理を行うことになります。そのため、各事業年度のリース料のうち減価償却費や金利相当額などを超える部分の金額は損金不算入になることになりますので注意が必要です。

税務上、何故このような処理になるのかというと、税法は民法第601条を前提にしているからです。民法第601条は賃貸借資産を相手方に譲渡することを前提にしておらず、これに該当しないものは賃貸借契約に該当しないと税法は考えます。したがって、リース契約満了時点でリース資産を買い取ることが契約上規定され、当該契約に従って実際に買取りが行われた場合、賃貸借契約というよりは契約締結時に譲渡予約契約が行われたとみるべきと考えるのです。

もっとも、契約上リース契約満了時点でリース資産を買い取ることが明記されていなければ、実際に買取りが行われていたとしても、単なる中古資産の買取りになりますのでこのような問題は生じないでしょう。

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つなぎ法案

4月に入り、ガソリン税の暫定税率が大方の予想通り、失効しました。

ガソリン価格を値下げするところや価格据え置きにするところなどガソリンスタンドによって対応は様々です。これで、また暫定税率を復活させるのでしょうか?

ところで、政府の対応で振り回されるのはガソリンだけではありません。

財務省のHPに「適用期限が経過した租税特別措置」という一覧表があるのですが、ここに交際費の損金不算入の規定が含まれているではありませんか!

ということは、現時点(4/4)では、法律上、交際費の損金不算入の規定は存在していないということになります。仮に、今後、租税特別措置法を再成立させるにしても平成20年4月1日から適用することについて問題はないのでしょうか?交際費の損金不算入は納税者不利の規定ですので、不動産譲渡損失の損益通算の問題と同様に、納税者不利の規定を遡及適用するのではないかといった危険性を含んでいます。

この点について税務署関係者に聞いてみたところ…
「租税特別措置法は適用期間中に開始する事業年度中に支出した交際費について損金不算入とすることにしております。あくまで年度単位の取扱ですので遡及適用にはならないのではないかと思います。」とのこと。

それなら、再成立の施行日以後に開始する事業年度から適用させないとおかしいだろpout!と、ツッコミたい気持ちになりましたが、現場にも全く指示がないとのこと…。

現場が一番苦労しますねcatface

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立退料を受け取った場合の処理

今年は、オリンピックイヤーですが開催地中国ではチベット問題に対する国側の問題で大変なことになっております。各国の要人が中国側の対応を避難し、オリンピックへの参加をボイコットする意見も見られておりますが、できれば、スポーツと政治の話は切り離して考えてもらいたいものです。それにしても、これだけ世界が注目する話題なのに我が国の政府は、なかなかの無関心ぶりですな。同じアジアの国の問題でもあるのでもうちょっと対応を考えてほしいものです。

さてさて、今回は立退料を受け取った場合の税務処理を考えてみようと思います。

借家人が貸主の都合で、借りていた建物を立ち退く際には、通常、立退料を受け取ります。この立退料ですが、おおよそ次の3つの性格を有すると思われます。

①移転に伴う移転費用の移転補償金
②移転に伴い、それまで得ていたはずの収益を補填するための収益補償金
借家権の消滅の対価

このように、ひとくちに立退料と言っても様々ですので税務上の取扱も異なってきます。

①については、移転費用に充当し、移転費用を上回った部分は一時所得になります。
②は、立ち退き前にその場所で営んでいた事業所得や不動産所得などの収入金額として扱われます。
③は、立ち退きまでの期間が5年以内であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得として50万円控除の対象となります。いずれも総合譲渡所得になります。

ここで、①と③は課税所得金額の計算をする上で2分の1にされますが、②は2分の1されません。したがって、金額が同じでも立退料の内容によって負担する税額に大きな差が出ることもありますので注意が必要です。

なお、③については借家権が慣行として認められている地域に適用があります。申告前に所轄税務署で自分が申告する地域でそのような慣行があるか確認すると良いでしょう。

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