不動産譲渡損失の損益通算③
今回の事件の主なポイントは以下の通りと考えられます。
①適用時期を延長するとバブルで塩漬け状態になっていた土地等の一斉売却が予測され、土地市場が 混乱することが予測された。
②改正が平成15年12月中旬の税制改正大綱で発表されたことで、対応可能期間がわずか2週間しか 設けられなかった。結果として、売却の時機が失われ、納税者の財産権が侵害されたおそれがある。
③そもそも、法律として成立されていない税制改正大綱の公表をもって、充分な周知といえるのかどう か。
筆者個人としては、今回の東京地裁よりも福岡地裁の判断のほうが正しいと考えます。なぜなら、税制改正大綱はあくまで、国会審議案であって、今回審議で変更の可能性があるため、大綱の内容をそのまま信用することはできないこと。また、当時、所轄税務署でも改正の資料がそろっておらず、充分な周知があったとは言えないからです。
もし、今回のような遡及適用が認められるのであれば、今後も同様な形で納税者不利の遡及適用が予想され、国民生活に混乱を招くことでしょう。経済社会に必要なこととはいえ、それに備えるための国民の機会を一方的に奪うことには、やはり納得できないものがあります。争いの舞台は高裁へ移りますが、司法による納得のいく判断を行ってもらいたいものです。
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